第十一回 おむすびや in HAWAII(2002年7月)
「こだわって海苔!」
原稿執筆:いやすめ・とんすけ(大竹俊之)
○海苔の栄養のこと
古くは縄文時代の遺跡からも食されていた痕跡が発見されるなど、先史時代から私たち日本人の食生活に取り入れられてきた海苔。一回に食べる量が少ないため、栄養価についてはつい見落とされがちですが、海苔は極めて消化の良い良質の蛋白質をはじめ、心臓病やアレルギー病に有効なEPA、また私たちの健康に必要不可欠なカリウム、カルシウム、ヨード、ナトリウム、鉄、マンガン、燐、亜鉛等のミネラル類、さらにビタミンA、B1、B2、C、Dや食物繊維を豊富に含有。その栄養価の高さから毎日海苔を二枚食べるだけで、1日に必要な量を取れると言われるほどです。
○海苔の養殖
海苔づくりは、よく農業にたとえられます。遠浅の海が畑とするならば、肥えた土地の代わりに必要なのは養分に富んだ海水です。農業ではトマトなどで茎が折れないように支柱をたてますが、海苔の場合は種苗をつけるために「網ひび」を張ります。
徳川時代から昭和の初めまでは「ソダひび」という立体的養殖法がとられていましたが、取り扱いの不便さや漁場使用の問題もあり、昭和2年に「網ひび」といわれる水平式養殖法が発明されると「網ひび」にとってかわられました。昭和4年には「浮ひび」という浮動性を持った水平式養殖法も発明され、立体式に比べ収穫量は一躍4倍以上という驚異的躍進ぶりを遂げたのです。他にも人口種付法の発達や品種改良など養殖技術の革新によって、その昔、貴族の食べ物とされた海苔が現在では日本人の食生活に欠かせないものとして安定供給されるようになったのです。
今回は海苔の栄養と養殖について書いてみました。毎日お店で使っている海苔は、東京・大森の林屋から直接買いつけてハワイに輸入しています。おそらくハワイで一番高い海苔を使っています。この林屋の海苔、日本では三越でしか手に入らないシロモノです。それがハワイのこんな小さなおむすびやで使用されている。おむすびを食べたお客さまは、お米はもとより、この林屋の海苔がおいしいとおっしゃってくれます。とても割高な素材ですが、米にこだわって、海苔のこだわって、自分が一つひとつむすぶ。それがうまさの秘訣です。どうぞ、時間に余裕を持ってお買い求めください。
おむすびや店主
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